市場の朝は早い。午前9時の開店と同時に、威勢のいい掛け声が店内に響き渡る。氷の上に並べられた魚たちは、どれも目が澄んでおり、エラは鮮やかな赤色だ。スーパーのパック詰めされた切り身とは明らかに違う「命の気配」がそこにはある。
「今日はどの魚がおすすめ?」そんな客の問いかけに、魚のプロであるスタッフが即座に答える。美味しい食べ方、下処理のコツ、余ったときの保存法まで、会話を楽しみながら買い物ができる対面販売のスタイルも人気の秘密だ。効率化ばかりが叫ばれる時代に、この人間味あふれるコミュニケーションが新鮮に映る。