五大堂を訪れた際、多くの観光客が景色に見惚れて見落としがちなのが、建物の外側上部、屋根を支える「蟇股(かえるまた)」に施された十二支の見事な透かし彫りです。
この彫刻は単なる装飾ではなく、堂の四方位と十二支の方角が完全に一致するように配置されています。堂の周囲を時計回りに一周しながら見上げることで、政宗が求めた職人技の極致を体感できます。
- 東面:卯(う)・辰(たつ)・巳(み)
- 南面:午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)
- 西面:酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)
- 北面:子(ね)・丑(うし)・寅(とら)
堂内に安置されている本尊は、中央に不動明王、東方に降三世明王、南方に軍荼利明王、西方に大威徳明王、北方に金剛夜叉明王を配した秘仏「五大明王像」です。この秘仏は厳格な宗教的伝統により、33年に一度しか御開帳されない決まりとなっています。直近では2006年(平成18年)に御開帳が行われており、次回のご開帳は2039年となる予定です。普段は固く閉ざされた扉の奥に眠る明王たちに思いを馳せながら参拝するのも、五大堂巡りの大きな醍醐味です。