6代目円楽さんは、教育者・師匠としても型破りな器の大きさを持っていました。現在の円楽一門会(五代目円楽一門会)において、自らの直弟子たちを真打へと育て上げる一方で、最も世間の耳目を集めたのが、タレントとして大成した伊集院光さんとの師弟ドラマです。
1980年代半ば、高校を中退した田中光(現・伊集院光)さんは六代目(当時・楽太郎)に入門し、「三遊亭楽大」の高座名を与えられました。しかし、落語家修業の重圧や将来への不安から次第に一門から足が遠のき、ラジオ番組のオーディションに合格したことを機に落語界を離れてしまいます。伝統的な師弟社会において、無断でのメディア進出や失踪は完全な破門・絶縁を意味する重罪でした。
ところが、6代目円楽さんは弟子を断罪しませんでした。伊集院さんがラジオ界のトップスターへと駆け上がっていく姿を陰ながら見守り、「ラジオで看板を張れているなら立派な芸人だ。落語がやりたくなったら、いつでも帰ってこい」と周囲に語り続けていたのです。その恩情に報いるように、2021年には落語会『伊集院光の落語博覧会』にて、実に30数年ぶりとなる師弟二人会が実現。伊集院さんは高座で涙ながらに古典落語を披露し、師弟の絆を公の場で完結させました。
直弟子には、現在一門の中核を担う本格派から個性派まで多彩な顔ぶれが揃っています。
- 三遊亭楽生:筆頭弟子。古典落語の確かな技量を受け継ぎ、一門の柱として活動。
- 三遊亭楽市:安定した口演と誠実な高座でファンを魅了する実力派。
- 三遊亭楽大:伊集院光さんの返上した高座名を受け継ぎ、力強い芸風で精進を続ける中堅。
- 三遊亭一太郎:円楽さんの実子(長男・会一太郎)であり、落語家と人気声優の二刀流として独自の道を歩む。