事件後、富山・福井・神奈川の合同捜査本部は、勘坂元社長および食肉卸売業者の役員ら計数名を業務上過失致死傷容疑で書類送検しました。被害者遺族は刑事罰による厳正な処罰を強く望んでいました。
しかし、検察の判断は極めて冷徹なものでした。2016年、富山地検は「嫌疑不十分」として不起訴処分を決定。検察審査会への申し立てを経て再捜査が行われたものの、最終的にも不起訴が確定しました。
刑事責任を問えなかった決定的な理由は以下の2点に集約されます。
- 汚染ルートの特定困難:菌が卸売業者の加工段階で付着したのか、運送過程か、それとも店舗の厨房内なのか、科学的に100%特定することができなかった。
- 予見可能性の立証限界:当時の法制度において生食肉の基準に罰則規定がなく、業界全体で加熱用肉の生食転用が常態化していたため、「死傷の結果を明確に予見できた」と法的に立証することが困難と判断された。
一方で、民事裁判においては被害者遺族や重症者らが損害賠償を求めて提訴。富山地裁などで元社長や会社に対して数億円規模の損害賠償命令や和解が成立しました。しかし、フーズ・フォーラスは事件後すぐに全店営業停止処分を受け、負債総額約21億円を抱えて特別清算(倒産)。会社に賠償金を支払う資産は残っておらず、勘坂氏個人も多額の負債を前に十分な補償能力を失っていました。裁判で勝訴してもお金が支払われないという、あまりに理不尽な「補償の壁」が遺族の前に立ち塞がったのです。