鯛のあら汁を作った際に「どうしても生臭さが残る」と感じる場合、その大半は魚の表面に浮き出た余分な水分と、皮目に残ったヌメリを一緒に煮込んでしまっていることに起因します。魚の臭み成分であるトリメチルアミンは、時間とともに皮や血液、内臓の付着部で急激に増殖します。これを水だけで洗い流そうとしても、油分を含んでいるため完全に落としきれません。
そこで仕上がりの差を劇的に生み出す第一段階が「塩振りと脱水」です。和食の基本レシピを発信する白ごはん.comなどの専門データでも推奨されている通り、切り分けられた鯛のアラ約300gに対して塩小さじ2/3程度を全体にまんべんなく振り、常温で15分から20分ほど置きます。浸透圧の働きによって、臭みを含んだドリップが表面にじわじわと浮き出てきます。
第二段階が、臭み抜きの真骨頂である鯛のアラ霜降りのコツです。ここで多くの人が疑問に抱くのが鯛のアラ下処理熱湯時間ですが、目安は沸騰した湯(約80〜90度)に5〜10秒くぐらせるだけで十分です。ボウルに入れたアラに上からたっぷりと熱湯を回しかけ、表面の皮がキュッと白く縮んだ瞬間に、氷水または流水を張った冷水ボウルへ素早く落とします。長時間の加熱は旨味成分であるイノシン酸を湯の中に逃してしまうため、表面のタンパク質を凝固させてヌメリを浮かせる最短時間にとどめるのが鉄則です。