物語の前半、視聴者の心を強く捉えたのが「向島電機」の乙女寮で繰り広げられた集団就職の少女たちの青春だ。地方から夢や家族への思いを胸に上京してきた「金の卵」たち。彼女たちが狭い部屋で身を寄せ合い、ラジオを作りながら語り合う姿は、昭和という時代の光と影を映し出していた。
豊かさを目指して急速に変化していく社会の裏側で、汗を流して働く若者たちの健気さ。コーラス隊のシーンや日曜日の外出など、少女たちの小さな喜びが生き生きと描かれた。地方出身者であれば誰もが抱く故郷への郷愁と、東京という大都会に対する戸惑い。その普遍的な感情の描写が、世代を超えた深い共感を呼び起こしたのである。