乱視を抱える人の視界を再現した「乱視見え方画像シミュレーション」などを確認すると、健常眼(正視)とは決定的に異なる光の挙動が浮き彫りになります。正常な眼球では、外から入ってきた光が角膜と水晶体を通り、網膜上の一点(中心窩)にきれいに収束します。ところが乱視の目では、光が一点で交わらず、前後にずれた複数の焦線(ピントの線)を形成してしまうのです。
これがまさに、乱視文字がブレる原因の核心です。たとえば黒い背景に白い文字が表示されているとき、文字のフチが縦や横、あるいは斜め方向にわずかにずれて影のように見えます。教科書やモニターの「日」という漢字が「目」に見えたり、数字の「3」と「8」の見分けが瞬時につかなくなったりするのは、光が均一に結像していない証拠です。
とりわけ顕著に現れるのが夜間の視界です。乱視夜間に光が二重に見える理由は、瞳孔の開きと瞳を通る光の収差にあります。暗所では光量を確保するために瞳孔が自然と大きく開きますが、瞳孔径が拡大するほど、角膜や水晶体の周辺部にある歪みの影響を直接受けることになります。その結果、車のテールランプや街路灯が線状に長く伸びたり、花火のように四方八方へ散乱して滲むといった現象が急激に悪化するのです。