作家としての地位を確固たるものにした背景には、主要な文学賞での華々しい受賞歴がある。2006年に『まほろ駅前多田便利軒』で第135回直木三十五賞を受賞。選考委員からもその卓越した人物描写とストーリーテリングが高く評価された。続いて2012年には『舟を編む』で全国の書店員が選ぶ本屋大賞を受賞。同一作家による直木賞と本屋大賞の双方に輝くという快挙は、文壇と現場の書店員双方から愛されている証拠でもある。
文藝春秋を筆頭に大手各社が彼女の新作を競って刊行してきた理由もそこにある。批評家からの高い評価と、一般読者を惹きつけるエンターテインメント性を高い次元で両立させる力。これは現代の日本文学シーンにおいて、極めて貴重な才能と言えるだろう。