『はがゆい唇』を語る上で欠かせないのが、シングルに収録されていたカップリング曲『眠れない夜をかぞえて』の存在だ。表題曲が情念の爆発や攻めの姿勢を感じさせる楽曲であるとすれば、こちらは静かな孤独と向き合う夜の静寂を描いた名曲である。
この2曲の対比によって、一枚のシングル作品としての完成度が飛躍的に高まっている。当時の日本の音楽シーンは、シングルCD一枚の中に明確なストーリー性と美学を詰め込んでいた。B面(カップリング)だからといって妥協のないクオリティを誇っていた当時の制作思想は、現代のリスナーにも深い感銘を与えている。