不妊治療の保険適用によって、従来の自由診療(全額自己負担で1回あたり40万〜60万円以上)と比べ、治療費のハードルは劇的に改善されました。公的医療保険を利用する場合、窓口負担は一律3割負担となります。
保険適用を受けるための「年齢制限」と「回数制限」
厚生労働省の規定により、保険適用で体外受精・顕微授精を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
- 年齢制限:治療開始日時点(採卵等の計画作成時)で女性の年齢が43歳未満であること(男性側の年齢制限はなし)。
- 回数制限(胚移植の回数):
- 初めての治療開始時に40歳未満の場合:子ども1人につき通算6回まで
- 初めての治療開始時に40歳以上43歳未満の場合:子ども1人につき通算3回まで
注意すべきは、回数のカウントが「採卵」ではなく「胚移植(受精卵を子宮に戻す回数)」である点です。また、治療によって出産に至った場合は回数がリセットされ、第2子以降の治療でも再び同等の回数枠から開始できます。
「高額療養費制度」と「医療費控除」で実質負担を最小化する
体外受精は1周期あたりの医療費が十数万円〜数十万円規模になるため、公的医療保険の「高額療養費制度」が適用されます。年収区分に応じた月ごとの自己負担限度額を超えた分は払い戻されます。
一般的な年収世帯(年収約370万〜約770万円/区分ウ)の場合、月あたりの自己負担上限額は約8万円〜9万円前後に抑えられます。あらかじめ加入している健康保険組合から「限度額適用認定証」を取り寄せて窓口に提示すれば、最初から上限額までの支払いで済みます。
さらに、1年間(1月1日〜12月31日)に世帯全体で支払った医療費の合計が10万円(または総所得金額の5%)を超えた場合は、確定申告で「医療費控除」を申請することで所得税・住民税の還付や減額を受けることができます。また、先進医療(タイムラプス培養や子宮内細菌叢検査など)を併用する場合、自治体独自の「先進医療助成金」が用意されているケースが多いため、居住地の自治体窓口の確認が欠かせません。