高等教育論および組織人事の視点から分析すると、客員教授という制度は「知のオープンイノベーション」を推進する優れた仕組みであると同時に、受託する側にも明確な向き不向きが存在します。
客員教授の就任を前向きに検討すべき人物像
- 本業のビジネスや社会的影響力を確立しており、次世代育成に知見を還元したい人:報酬額の多寡にとらわれず、教育活動そのものに社会的意義を見出せる実務家。
- 自らの専門知を体系化し、アカデミックな裏付けを得たい人:実務経験を講義として言語化することで、自らのビジネスや執筆活動に新たな付加価値を生み出したいプロフェッショナル。
- 所属企業や自身の社会的信用力を高めたい経営者・文化人:大学名を通じたオーソリティ(権威性)の獲得が、本業のブランディングにプラスに働くケース。
客員教授の打診に慎重になるべき人物像
- 安定した給与や生活資金の獲得を目的としている人:客員教授はコマ給・謝金ベースの有期契約であり、生活の基盤となる固定収入は得られません。
- 多忙を極め、講義準備や学生対応に時間を割く余裕がまったくない人:名義貸しのような形で引き受けると、学生からの評価が低下し、かえって自身のレピュテーション(名声)を傷つけるリスクがあります。
- 研究者としての正統なテニュア(終身雇用ポスト)を目指している若手研究者:専任教授へのキャリアパスとして客員教授を経由することは極めて稀であり、常勤の助教・講師ポストや特任ポストを優先すべきです。