医療関係者のデータだけでなく、実際に長年処方を受けてきた当事者たちの生々しい告白に耳を傾けると、抗不安薬が持つ二面性が浮き彫りになります。大手医療相談掲示板やSNS、当事者の手記を定性分析すると、評価は真っ二つに分かれます。
「商談前の過呼吸で倒れそうだったが、デパスを舌下投与したおかげで人生の窮地を脱した」「ソラナックスがポケットにあるだけで、満員電車に乗れるようになった」という切実な救済の声がある一方で、数年単位で服薬を継続した元患者の手記には背筋の凍る体験が綴られています。
「飲むと30分で世界が平和になる。だが、半年経つと同じ量では不安が消えなくなり、医師に頼み込んで増量してもらった。気づけば薬がないと家から一歩も出られない身体になっていた」(30代・元パニック障害患者の手記より)
さらに、実生活における重大な障害となるのが抗不安薬の眠気と注意点です。抗不安薬は脳の活動全体を沈静化させるため、認知機能の低下、集中力の散漫、前向性健忘(服薬前後の記憶が飛ぶ現象)を引き起こします。すべてのベンゾジアゼピン系薬剤の添付文書には「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」と明記されており、服用中の交通事故においては保険適用の制限や危険運転致死傷罪の対象となり得るリスクを常に孕んでいます。