「なぜ100%の銀を使わずに、あえて92.5%という半端な数字にするのか」という疑問は、ジュエリーを買い求める多くの人が最初に突き当たる疑問です。この問いの答えは、銀という金属が持つ極端な物理特性にあります。
純度99.9%以上のいわゆる「純銀(シルバー999)」は、金属としては非常に柔らかく、人間の爪で強く押したり、日常的な軽い衝撃を受けたりするだけで簡単に凹み、変形してしまいます。そのため、細かな装飾を施すリングや、日常的に引っ張られるネックレスのチェーンに純銀を採用すると、石留めが緩んで宝石が脱落したり、リングが楕円形に潰れて指から抜けなくなったりする致命的なリスクを抱えることになります。
そこで編み出されたのが、全体の92.5%に高純度の銀を用い、残りの7.5%に銅などの別の金属(割金:わりがね)を混ぜ合わせる合金技術です。銅の原子が銀の結晶格子に入り込むことで金属全体の硬度(ビッカース硬度)が飛躍的に向上し、繊細な造形美と日常使いに耐えうる実用的な剛性を両立させることに成功しました。
欧米ではこのシルバー925を古くから「スターリングシルバー(Sterling Silver)」と呼びならわしてきました。「sterling」には「真正の」「価値ある」「信頼できる」という意味が込められており、12世紀の英国において法定通貨(スターリング・ポンド銀貨)の品位として厳密に規定された歴史に由来します。日本の造幣局の貴金属品位区分においても、925は国際的に確固たる「本物の純銀ジュエリー」として認定されています。