キャリアを語る上で欠かせないのが、大型ミュージカルにおけるハマり役の数々だ。代表作『レ・ミゼラブル』においては、かつて革命を率いる情熱のリーダー・アンジョルラスを演じ、のちには法と正義の執念に生きる警察官ジャベール役へと深化を遂げた。一見すると対極に位置するふたつのキャラクターを、それぞれ異なる重厚感で構築してみせた腕前は圧巻だった。
また『エリザベート』における皇太子ルドルフ役や暗殺者ルキーニ役など、作品の核心を突くポジションでの演技は、常に物語に鋭いエッジをもたらしてきた。単に歌声を美しく響かせるのではない。台詞の一言、吐息ひとつにキャラクターが歩んできた人生の影を滲ませる。その役作りは、観客に「なぜこの人物はそう生きざるを得なかったのか」を深く問いかける力を持っている。