なぜ掲示板の住民たちは、作品の内容そのもの以上に「掲載順」や「売上」の数字に執着するのでしょうか。長年少年漫画スレッドを観察してきたメディア関係者の視点から見えてくるのは、作品を通じた代理戦争という現代特有のコミュニケーション形態です。
毎週月曜の未明、雑誌の早売り情報や電子版の目次画像がアップロードされた瞬間、スレッドの流れは最高潮に達します。下位5作品に割り当てられるいわゆる「底辺枠」にどの作品が入ったかが確認されると、アンチ勢力による煽り込みと、ファンによる防衛の書き込みが秒単位で交錯します。
「今週の掲載順、実質的な宣告だな」「いや、カラー予告が来てるからセーフだ」といった応酬の根底にあるのは、「自分が認めた作品の社会的正しさ」を証明したいという承認欲求です。可視化された掲載順やランキングは、ファンにとって自尊心の拠り所となり、同時に他者の好みを攻撃するための格好の武器として機能してしまっています。