現在の洗練された景観に至るまでには、実に長い歳月と前例のない都市再編のドラマがありました。東京駅丸の内駅前広場の歴史を紐解くと、1914年(大正3年)の東京駅開業時、辰野金吾が設計した駅舎の前は皇居へと向かう壮麗な空間として位置づけられていました。しかし戦後の高度経済成長期に伴い、広場は交通処理を最優先とするバスターミナルやタクシープールで埋め尽くされ、歩行者が自由に佇める場所は失われていたのです。
転機が訪れたのは2000年代初頭でした。東日本旅客鉄道(JR東日本)と東京都による壮大なプロジェクトが始動し、2012年の赤レンガ駅舎復原に続いて、2014年から広場の大規模改修が本格化しました。丸の内駅前広場の工事経緯において最大の難所は、1日数十万人が利用するメガターミナルの交通機能を一切止めずに、南北に交通機能を再配置し、中央に約6,500平方メートルの「丸の内中央広場」を新設することでした。
2017年冬のグランドオープンによって完成したこの空間は、単なる美観の向上にとどまらず、都市の骨格を歩行者中心へと転換した画期的な事例として高く評価され、2018年度のグッドデザイン賞(金賞・経済産業大臣賞)を受賞しました。