ネット上の掲示板やSNSでは「枝毛を自分で切ったら、数日後に倍近く増えた」という体験談が頻繁に語られます。毛髪診断士やトップスタイリストの取材データを統合すると、この現象はオカルトではなく毛髪構造の物理的な破壊によって引き起こされる確かな事実であることが分かります。
髪の毛は外側からキューティクル、コルテックス(毛皮質)、メデュラ(毛髄質)の3層構造で成り立っています。健康な毛髪を切る際、切れ味の鋭い専用シザーであれば断面をきれいに切断できます。しかし、紙やビニールを切るための文房具用ハサミや使い古した眉用ハサミを使用すると、刃が髪の繊維を「切る」のではなく押し潰して引きちぎる状態になります。
押し潰された切断面はキューティクルが剥離し、内部のタンパク質繊維が外気に剥き出しになります。その結果、日常のシャンプーやドライヤーの熱、ブラッシングの摩擦によって断面から急速に乾燥が進み、カットした位置からさらに縦方向へ裂け目が進行します。これが「枝毛を切ったのに余計に増えた」と感じる決定的な理由です。
また、枝毛を手で引きちぎる行為は最悪の選択肢です。引きちぎった断面は不規則に毛羽立ち、健康な部位まで巻き込んで繊維が裂けるため、数日もしないうちに無数の枝毛と切れ毛を生み出す温床となります。