日本の司法・法制には、裁判官の身分を奪う仕組みがもうひとつ存在する。それが国会に設置される「裁判官弾劾裁判所」だ。両者の性格は根底から異なる。
裁判官弾劾裁判所は、裁判官による著しい職務上の義務違反や、品位を辱める深刻な非行があった場合に、国会議員で構成される法廷が個別に審理・判決を下す「法的・懲戒的アプローチ」である。これに対し、国民審査は政策的・憲法解釈上の姿勢を含め、国民が直接主権者として司法の責任を問う「政治的・民主的アプローチ」だ。権力の肥大化を防ぎ、法の支配と主権在民の調和を図る二重の安全装置として、この二つの制度が機能している。