十一代目総長を務める熊谷正敏の存在は、現代ヤクザの肖像を語るうえで避けて通れない。メディア露出や海外ジャーナリストによる密着取材を通じてその名が広く知られた人物であり、従来の極道像を覆す知性派・国際派のリーダーとして裏社会内外に強烈なインパクトを与え続けてきた。
熊谷総長が率いる碑文谷一家の特徴は、徹底した規律と時代即応型のリーダーシップにある。組織の引き締めを図る一方で、無益な衝突を回避し、組織全体の防衛力を高める冷徹なリアリズム。その求心力があるからこそ、厳しい締め付けの中でも一家は揺らぎを見せない。
カリスマが放つ存在感は、単に組織のトップというだけでなく、稲川会全体における象徴的な抑止力としても機能している。動乱の時代にあって、彼が下す一つひとつの判断が業界全体のパワーバランスを左右する。