2021年2月3日、公式サイト上で発表された「活動休止」の一報は音楽業界に大きな衝撃を与えました。発表文に記された「修行の時期を迎えるため」という言葉の意味について、当時は様々な憶測が飛び交いました。この言葉の裏には、商業的成功がもたらした過密スケジュールと、クリエイティビティのすり減りに対する真摯な危機感がありました。
活動休止期間中、メンバーたちは立ち止まることなく、それぞれが異なるアプローチで自らの音楽性を深化させていきました。
ボーカルのYONCEは、2023年に新バンド「Hedigan's(ヘディガンズ)」を本格始動させました。GLIM SPANKYの亀本寛貴やnever young beachの鈴木健人ら気鋭のミュージシャンとともに鳴らしたサウンドは、サチモス時代の洗練されたアシッドジャズとは一線を画す、土臭く詩情豊かなサイケデリック・フォークロックでした。当時の特番インタビューにおいてYONCEは、「歌うことの原点に立ち返り、自分の言葉がどう響くかを確かめたかった」という趣旨の告白を残しています。
ギターのTAIKINGは、自らのレーベルを立ち上げて精力的なソロ活動を展開したほか、日本を代表するトップアーティスト・藤井風のスタジアムツアーやアリーナツアーでリードギターを担当。国内屈指のギタリストとしての評価を不動のものにしました。キーボードのTAIHEIもまた、母体であるSANABAGUN.のみならず、話題のポップユニット「Bialystocks」のメンバーとして映画・ドラマの劇伴制作を手掛け、作編曲家としての才能を開花させています。
バラバラになったのではなく、それぞれが外の世界で実力を磨き直す時間――まさに公式発表の通り、メンバー全員が徹底した「武者修行」の日々を送っていたのが休止期の実態でした。