サイレンススズカが築き上げた実績は、単なる記録以上の衝撃を日本の競馬史に与えた。特に1800メートルから2200メートルにおけるパフォーマンスは極限に達していた。宝塚記念ではステイゴールドやエアグルーヴといった並み居るGI馬を相手に、ハナを奪ってそのまま押し切る横綱相撲を披露してみせた。
「逃げて差す」と形容されたその走法は、前半から爆発的なラップを刻みながら、最後の直線でも上がりの足を衰えさせないという常識外れのものだった。単に逃げるだけの馬なら他にも存在する。しかし、他馬の追随を一切許さず、追いすがるライバルたちの戦意を奪い去る走りは、彼だけに許された「領域」だった。