発売から四半世紀近く支持される瞳をとじて 泣ける理由は、人間の心理構造からも論理的に裏付けられます。臨床心理学や終末期医療の現場で用いられる「グリーフワーク(悲嘆の作業)」の観点から本作を分析すると、歌詞の構成が見事なまでに心の回復プロセスに寄り添っていることが浮き彫りになります。
人は身近な人を亡くした際、「否認」から始まり「怒り」「抑うつ」を経て、時間をかけて「受容」へと至ります。安易な励ましや「前を向いて歩こう」というポジティブの押し売りは、当事者にとって時に暴力となります。『瞳をとじて』の歌詞は、底知れぬ喪失の痛みを抱える主人公の悲哀を、一切否定することなくそのまま肯定します。
「悲しみに沈み、涙を流す時間そのものが尊い」というメッセージがメロディと融合することで、リスナーの感情カタルシスを誘発します。聴き手は主人公に自分自身の過去の別れや後悔を投影し、楽曲を通じて自らの心の傷を癒やしていくのです。