ネット検索やメディアで「食の変態」という言葉に触れたとき、多くの人が抱く「一体誰のことなのか?」という疑問。その震源地であり、メディアを通じて決定的な代名詞として定着させた人物こそ、料理人の太田哲雄(おおた・てつお)シェフです。
ことの発端は、TBS系列の紀行バラエティ番組『クレイジージャーニー』への出演でした。独自のこだわりを持つ狂気の旅人たちを紹介する同番組において、太田シェフは「アマゾンの知られざる食材を採取し、独自の料理を仕立てる料理人」として登場。現地の先住民族ですら警戒する正体不明の木の実や蟻、獰猛な野生生物を、迷うことなく自らの口へと運び、味の解像度を冷静に分析する姿が放映されました。MCを務める松本人志氏、設楽統氏、小池栄子氏らが思わず息を呑み、畏敬の念を込めて発した言葉こそが「変態」という最上級の形容詞でした。
グルメ界隈における「食の変態の意味と由来」を紐解くと、元来この業界において「変態」という表現は侮蔑ではなく、「理性のタガが外れるほど一つの味や調理技法に狂気を捧げた職人」に対する最上級の賛辞として使われてきた土壌があります。「火入れの変態」「熟成の変態」などと称される名料理人は存在しますが、太田シェフの場合はその探求の舞台が安全な厨房内にとどまらず、生命の危険が隣り合わせのアマゾン奥地や原生林にまで及んでいたことから、文字通り「次元の違う食の変態」として世間に激震を与えたのが元ネタの真相です。