国家錬金術師の頂点に君臨するアメストリス国大総統キング・ブラッドレイ。その実態は、「お父様」と呼ばれる最初のホムンクルスによって国家統括のために生み出された7体のホムンクルスの1人、「憤怒(ラース)」です。
他のホムンクルスがフラスコの中の小人から直接生み出された人外の存在であるのに対し、ブラッドレイは出生から大きく異なります。彼は幼少期から国を統治する傀儡指導者として英才教育を受けた「大総統候補生」の生き残りであり、選抜の最終段階で体内に直接「賢者の石」を注入されました。
注入された賢者の石に含まれる膨大な魂の拒絶反応によって、候補生たちは次々と絶命。その中で唯一、魂の暴風雨に打ち克ち、肉体を乗っ取られることなく自己の意思を保ち続けたのが彼でした。この過酷な儀式を経て、彼は「人間をベースに作られた最初のホムンクルス」となったのです。
彼が他のホムンクルスと決定的に異なる点は、「人間と同じように歳を取り、肉体の超速再生能力を持たない」という制約です。石の魂が1つに淘汰されたことで再生のストックが存在せず、傷を負えば治癒には通常の人間と同じ時間がかかります。しかし、この制約こそが彼の研ぎ澄まされた剣技と危機回避能力を極限まで研鑽させる動機となりました。
なお、重厚な威厳と凄みを表現したアニメ版の声優は、名優・柴田秀勝氏(『鋼の錬金術師』2003年版および『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』共通)が務め、若年期の過酷な選抜時代は木内秀信氏が演じ分けています。