打席でフルスイングしているにもかかわらず、ボールが前方のネットへ鋭く飛んでいかない場合、身体の動きとボールの衝突現象において典型的なエラーが発生しています。取材データおよび指導現場の分析から浮かび上がった主な要因は次の3点です。
第1の要因は、「ボールの軌道に対するバットの進入角度のズレ」です。初心者に最も多いのが、ボールを下からすくい上げようとする極端なアッパースイングです。打球を高く遠くへ飛ばしたいという心理が先行すると、右打者であれば右肩(軸足側)が下がり、バットのヘッドが下がった状態で遠回りして出てきます。その結果、ボールの上面を擦って力のないピッチャーゴロになるか、下面を叩いて捕手方向へのファウルチップになってしまいます。
第2の要因は、「インパクト直前の手首のこね(早期回外・回内動作)」です。ボールに当たる前から手首を返してしまうと、バットの有効打球面が極端に狭くなり、ボールに推進力を伝える「押し込み」が失われます。強い打球を前に飛ばすためには、インパクトの瞬間まで手のひらが上を向く側の手(右打者なら右手)がバットを支え、ボールを正面から押し込む感覚が不可欠です。
第3の要因は、「マシンの球質特有のタイミングの狂い」です。生身の投手と異なり、ピッチングマシンは機械的な動作でボールを射出します。特に初心者用の低速設定(70〜80km/h)では、放物線を描いて山なりに落ちてくるため、直線的な軌道をイメージして振ると空振りやチップを誘発します。マシンの射出孔からボールが放たれる瞬間ではなく、ボールがホームプレートの手前約1メートルの空間に到達するタイミングに合わせて始動することが、打てない状態を脱出する決定打となります。