生物学的な視点において、ぼてじゃこの正体とされる筆頭がコイ科タナゴ亜科に属する「アブラボテ」や、近縁のタイリクバラタナゴ、ヤリタナゴといった淡水魚たちです。特にアブラボテは、体長4〜7センチメートルほどで体高が高く、全体的に黒褐色で油を塗ったような艶があるため、その名の通り「脂ぎったぼてじゃこ」として地元水運関係者や漁師に認識されてきました。
タナゴ類の生態で最も特徴的なのは、ドブガイやカラスガイといった淡水性二枚貝の体内に産卵管を差し込んで卵を産み付ける点です。この特異な共生関係ゆえに、河川の直線化やコンクリート護岸化によって二枚貝が姿を消すと、ぼてじゃこたちも即座に姿を消してしまいます。滋賀県水産試験場や環境省のレッドリスト調査でも指摘されている通り、2020年代以降も固有種タナゴの生息地は限定的となっており、保護活動と外来種対策が続けられています。
一方で、愛好家の間では「日本一小さなターゲットを狙う釣り」として確固たる地位を築いています。1メートル前後の極短タナゴ竿に、研ぎ澄まされた極小の「新半月」針、そして黄身練り(卵黄に小麦粉を混ぜた餌)を極小につけてウキのピクピクとした微細なアタリを取るスタイルは、江戸時代から続く風流な大人の趣味です。琵琶湖の内湖や周囲の水路、淀川のワンド(本流から外れた淀み)は、今なお全国の釣り人が集う聖地として知られています。