チケット発券時、最も多くの来場者が頭を抱えるのが「アリーナ後方列」と「スタンド後方列」の引き当てです。はたしてネット上の口コミ通り、これらの席は絶望的な視界なのでしょうか。
まず検証すべきは、広島グリーンアリーナのスタンド席の見え方です。結論から言えば、さいたまスーパーアリーナや横浜アリーナ、あるいは各都市の5大ドームを経験しているファンにとって、広島グリーンアリーナのスタンド席は「驚くほど近く感じる」視界を提供してくれます。その最大の理由は、アリーナ長辺の奥行きが約80メートルに抑えられている点にあります。最後列のスタンド席からメインステージまでの直線距離を測っても最大で約85〜90メートル程度であり、ドームクラスの最後列(150メートル以上)と比較すれば半分近くの距離しかありません。
さらに、広島グリーンアリーナの2階席の見え方を大きく助けているのが、スタンド各段に設けられた適度な傾斜角です。前列との高低差が十分に確保されているため、「前の座席の観客の頭でステージ中央がすっぽり隠れてしまう」という視界トラブルが極めて発生しにくい構造になっています。ステージ全体の照明演出、プロジェクションマッピング、フォーメーションダンスの美しさを俯瞰で捉えたい観客にとっては、下手に平坦なアリーナ後方に位置するよりも、スタンド席のほうが圧倒的に鑑賞ストレスが少ないのが現場の実態です。
一方で、深刻な課題となりやすいのが広島グリーンアリーナのアリーナ席の構成における「埋もれ問題」です。アリーナフロアは元々が体育館の床面であるため、傾斜のない完全なフラット(平坦)フロアです。そこにパイプ椅子を隙間なく並べる構造上、前方に背の高い観客や大きなうちわ・ボードを掲げる観客が位置した場合、後方ブロック(30列目〜50列目以降など)の視界は著しく遮られます。
「アリーナ後方だったため、前の人たちの頭と肩の隙間から、演者の頭部や大型モニターの上半分がたまに見える程度だった」という証言は、決して誇張ではありません。特に花道やセンターステージが設けられていない構成のエンドステージ公演では、視線が常に前方一点に集中するため、アリーナ中・後列の低身長者にとっては厳しい鑑賞環境を強いられるリスクが客観的に存在します。