なぜ「だが断る」は、数多ある漫画の名台詞の中で突出してネットスラングとして普及したのでしょうか。当時のテキストサイトや匿名掲示板(2ちゃんねる)の文化を振り返ると、いくつかの明確な要因が見えてきます。
ネット上における「だが断る」の基本的な使い方は、相手の期待や一般的な常識に一度乗りかかったように見せかけ、最後の最後で梯子を外すというコミュニケーション様式です。
- パターンA(甘い誘いへの拒絶):「いま入会すれば初月無料でお得ですよ!」→「だが断る」
- パターンB(フリとオチの様式美):「〜してくれるよね?」「もちろん喜んで……だが断る」
- パターンC(理不尽な同調圧力への反発):「みんなやってるから君も合わせなよ」→「だが断る」
SNS上では、アスキーアート(AA)やコラージュ画像とともに投稿されることが多く、文字通りの拒否だけでなく「ツンデレ的な照れ隠し」や「ユーモアを交えたプロレス的な拒絶」としても機能しています。短く語感が良く、相手の鼻を明かす爽快感が、テキスト主体のウェブカルチャーと完璧に合致したといえます。