「普通の事故とは明らかに違っていた」
救助に駆けつけた消防隊員の一人は、声を潜めて語る。衝突した車両の中には複数の電気自動車(EV)が含まれており、そのうちの1台から激しい火の手が上がった。リチウムイオンバッテリーの熱暴走による火災だ。
EV火災は通常の消火剤や水では簡単に鎮火しない。現場では、特殊な消火シートで車両全体を覆い、熱が下がるのをひたすら待つという極めて慎重な作業が強いられた。この消火活動の難航が、結果として通行止めの時間を大幅に長引かせる要因となった。深夜の高速道路上に立ち上る不気味な青白い炎と化学臭は、現場をパニックに陥れるに十分な恐怖だった。