カニの甲羅を極限までほぐしていくと、髪の毛の数万分の一という極細の繊維「キチンナノファイバー」に行き着く。この物質が持つポテンシャルは計り知れない。鋼鉄の数倍の強度を持ちながら、ガラスのように透明で、しかも極めて軽い。すでに一部の化粧品や医療用シートとして実用化されていたが、ここにきて産業用素材としての需要が爆発している。
特に注目されているのが、石油由来プラスチックの代替としての役割だ。従来の生分解性プラスチックは、分解するまでに特定の温度や湿度が必要なものが多かった。しかし、甲殻類由来のナノファイバーを配合した新素材は、土中や海水中で速やかに分解され、自然に還る。マイクロプラスチック問題に対する決定打として、欧州の環境規制強化を背景に輸出引き合いが急増している状況だ。