経管栄養のケアは、開始前から終了後まで一連のプロセスとして捉える必要があります。最新の経管栄養 看護手順に基づき、時系列での必須観察項目を解説します。
1. 注入前:身体状況とルートの確実な確認
投与直前の経管栄養 注入前 観察項目は、安全性を左右する最大の関門です。以下の項目を確実にチェックします。
- 全身状態・バイタルサイン:体温、血圧、脈拍、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定し、発熱や呼吸苦がないかを確認します。
- 意識レベル:呼びかけに対する反応や傾眠傾向がないかを確かめます。意識レベルが低下していると誤嚥リスクが跳ね上がります。
- 腹部アセスメント:視診・触診・聴診を行い、腹部膨満感や筋性防御、自発痛の有無、腸蠕動音(グル音)が正常に聴取できるかを確認します。
- 胃内容物 残留確認:シリンジで胃内容物を静かに吸引し、量・色・性状を観察します。一般的に残留量が100〜150mL以上ある場合や、胆汁様・コーヒー残渣様の排液が見られる場合は、胃運動の低下や出血の恐れがあるため注入を延期し、医師へ報告します。
- ルートの開通性と位置確認:経鼻胃管の場合は固定テープのズレやチューブの目盛りが動いていないか、胃瘻の場合はストッパーの固定位置を確認します。微温湯20〜30mLを注入してスムーズに通るかを確かめます。
2. 注入中:リアルタイムの生体反応と投与コントロール
栄養剤の注入が始まったら、機械的な滴下に頼り切らず、定期的に患者の表情や生体反応を観察します。
- 体位の保持:逆流防止のため、ベッドのギャッジアップは30〜45度の角度を維持します。頭部だけが前屈したり身体がずり落ちたりしないよう、クッション等で良肢位を保持します。
- 注入速度 注意点:標準的な液体栄養剤の場合、1時間あたり200〜300mL程度の速度が基本です。急速投与は下痢やダンピング症候群、嘔気・逆流の直接的な引き金となるため、滴下コントローラーやポンプを適切に設定・監視します。
- 異常症状の早期発見:悪心、嘔吐、顔色不良、冷汗、咳き込み、むせ込み、呼吸促迫などの兆候が現れた場合は、直ちに注入を停止します。
3. 注入後:余熱期間の観察と合併症予防
注入が完了した後も、胃から十二指腸への排出が完了するまではリスクが継続します。
- カテーテルのフラッシュ:栄養剤の腐敗やチューブ閉塞を防ぐため、投与直後に微温湯20〜30mLで確実にフラッシュ(白湯流し)を行います。
- 体位維持の時間:注入終了後も最低30〜60分間は30度以上の座位・半座位を保ち、胃内容物の逆流と誤嚥を防ぎます。
- 腹部症状の再確認:投与後に急激な腹痛や膨満感、下痢の兆候が生じていないかを観察します。