閉園の発表と前後して、インターネット上の掲示板や地元コミュニティでは不穏な噂が飛び交いました。「あんなに大量の犬を一気にどうするのか」「まさか殺処分されるのではないか」という懸念です。平成中期は動物愛護管理法の改正が進みつつあったものの、閉園した動物園やサファリパークでの飼育崩壊が社会問題化していた時代背景も、そうした不安に拍車をかけました。
しかし、綿密な追跡取材と当時の関係者証言が示す事実は、そうした邪推とは正反対のものでした。結論として、殺処分された犬は1頭も存在しません。
施設に在籍していた約360頭の犬たちには、閉園の数か月前から計画的な移籍および譲渡プログラムが適用されました。具体的には以下の2つのルートで全頭の安全が確保されています。
- つくばわんわんランド(茨城県つくば市)への集団移籍: 運営元が同じ姉妹施設である茨城県のつくばわんわんランドへ、ショーやレースで活躍していた現役の主力犬や健康状態の良好な個体を中心に、大型空調車を用いて複数回に分けて移送されました。同園は現在も広大な敷地で営業を続けており、琵琶湖から移籍した犬たちの多くは茨城の地で新たなファンに親しまれ、寿命を全うしました。
- スタッフおよび一般里親への厳正な無償譲渡: 高齢犬や持病を持つ犬、家庭犬としての適性が高い個体については、長年現場で世話を続けてきた飼育員・スタッフ自らが引き取ったほか、身元確認や飼育環境の事前審査を徹底した上で、滋賀県内外の愛犬家家庭へ里子として引き渡されました。
閉園当日の閉園セレモニーでは、涙を流しながら犬たちに別れを告げるスタッフと来園者の姿が報じられましたが、現場にいたスタッフの誠実なケアによって、動物愛護の観点からも模範的な撤退劇が完遂されたのです。