鳥居をくぐり参道へ足を踏み入れると、まず参拝者を迎えるのが参道両脇に立ち並ぶ四十七士の石像です。堀部安兵衛の精悍な立ち姿、大石主税の若き決意、そして矢頭右衛門七の凛とした佇まいなど、一人ひとりの表情や携える武具が緻密に彫り込まれており、訪れた者を無言の迫力で圧倒します。来訪者の間でも赤穂大石神社の見どころと評判において、真っ先に挙げられる象徴的な空間です。
本殿参拝後に必ず立ち寄るべき拠点が、境内に併設された「義士宝物殿」および「義士木像奉安殿」です。館内には、吉良邸討ち入りの際に実際に大石内蔵助が振るったとされる采配や、義士たちが着用した鎖帷子(くさりかたびら)、携えた槍、さらには血判を押して誓い合った連判状の写しなどが厳重に保管されています。陳列ケース越しに伝わってくる刃の輝きや墨跡のかすれには、教科書の記述を遥かに超えた生々しい人間の息遣いが宿っています。
また、境内の一角には大石内蔵助が実際に暮らしていた屋敷の「大石邸長屋門」が当時の姿のまま残されています。討ち入り決定後に妻子と別れ、赤穂を去った内蔵助の胸中を想起させる史跡であり、歴史の舞台そのものに身を置く感覚を肌で味わうことができます。