ネット上の掲示板やSNSを開くと、「TOEICは800点以上からが本番」「750点程度では自慢にならない」といった極端な意見が目につきます。しかし、公式データに目を向けると、全く異なる現実が浮かび上がってきます。
IIBCが公表している「公開テスト 平均スコア・スコア分布詳細」を分析すると、公開テストの受験者全体の平均スコアは例年605〜615点前後で推移しています。その中で750点以上の取得者は全体の上位約15%〜18%に位置しており、受験者全体で見れば間違いなく上位層に該当します。
さらに注目すべきは母集団の性質です。TOEIC公開テストの受験者は、自主的に受験料を支払い、昇進や就職、自己研鑽のために学習を重ねてきた意欲的な層が大部分を占めます。一般的な大学生平均が580点前後、高校生の全国平均英語力と比較すれば、その差は歴然です。大学受験の英語力に換算すれば、共通テスト英語で9割以上を安定して得点できる基礎学力に匹敵し、決して「誰でも簡単に取れる点数」ではありません。
それにもかかわらず「たいしてすごくない」という言説が生まれる背景には、SNS特有の生存者バイアスがあります。高得点を誇示する一部の帰国子女や900点ホルダーの発信が可視化されやすい現代のアルゴリズムによって、初学者や中級者が「750点=平凡」と錯覚してしまう心理的トラップが生じているのです。