展示室へ足を踏み入れる前に、来館者が必ず知っておくべき実務知識が館内の展示構成とレギュレーションです。ネット上では「館内はどこでも撮影自由」という誤った情報が一部で散見されますが、実際の富山市ガラス美術館における写真撮影ルールは厳密に定められています。
まず撮影ルールの基本として、以下の条件が厳格に管理されています。
- 撮影可能エリア:「TOYAMAキラリ」吹き抜けのパブリックスペース、2階〜6階のエントランス周辺、および6階「グラス・アート・ガーデン」は個人利用目的に限り撮影可能。
- 厳禁事項:フラッシュ撮影、三脚・一脚・自撮り棒(セルフィースティック)の使用、他の来館者の鑑賞を妨げる長時間の場所占有、商業目的の無許可撮影は全面的に禁止。
- 企画展・コレクション展の制限:4階の常設展示室(所蔵作品展)や企画展示室では、著作権保護や作家との契約に基づき、原則として「撮影禁止」または「指定作品のみ撮影可」の措置が取られています。展示室入口のピクトグラム表示を必ず確認しなければなりません。
こうしたルールを踏まえた上で、富山市ガラス美術館の常設展の見どころとして外せないのが、建物の随所に配された「グラス・アート・パサージュ」です。展示室の壁を越え、図書館や共用廊下の壁面・天井に富山ゆかりの現代ガラス作家20名以上による作品がさりげなく組み込まれており、日常の歩行導線の中で不意に美しいアートと遭遇する仕掛けが施されています。
そして白眉はやはり6階のチフーリ作品群です。波打つ巨大なガラス皿が重なり合う『トヤマ・パーゴラ』や、鮮烈な黄色や赤の触手のような造形が光を放つ『トヤマ・ミルフィオリ』など、チフーリ氏の円熟期の傑作が一堂に会しています。展示室の床面にも作品が反射するよう綿密に計算されており、周囲の静けさと相まって、異次元の海底や宇宙空間に佇んでいるかのような深い没入感を味わえます。