前澤友作の家を語る上で欠かせないのが、設計を手掛けた建築家・中村拓志(なかむら ひろし)氏(NAP建築設計事務所)の存在です。隈研吾氏に師事したのち独立し、「リボンチャペル」や「狭山の森 礼拝堂」など自然と建築の調和を極限まで追求してきた中村氏の手腕が、この邸宅の骨格を形作っています。
前澤氏が中村氏に求めたコンセプトは「数百年受け継がれる本物の建築」でした。鉄筋コンクリート造の堅牢な現代建築をベースにしながら、日本古来の「数寄屋造り」の美学を融合。全国から選び抜かれた宮大工や左官職人、石工が集結し、釘を一切使わない伝統仕口や、幾重にも塗り重ねられた土壁など、職人の手仕事による超絶技巧が随所に施されています。
内装の最大の特徴は、文字通り美術館級アートと居住空間の完全な一体化です。前澤氏がオークションで約123億円(当時1億1050万ドル)で落札したジャン=ミシェル・バスキアの代表作『Untitled』をはじめ、マーク・ロスコ、アルベルト・ジャコメッティ、名和晃平といった世界屈指のマスターピースが、作品ごとに最適化された光量や湿度管理のもとで展示されています。家具類もジャン・プルーヴェやピエール・ジャンヌレといった名作ヴィンテージで統一されており、床や壁面に使用された石材・銘木の一枚板に至るまで、数年がかりで世界各地から取り寄せられた特注品で埋め尽くされています。