自動車メーカー各社のラインナップ整理は、ここ数年で急速に進みました。かつてミドルクラスセダンの代名詞であったトヨタのマークX、プレミオ、アリオン、カムリ(日本仕様)が次々と生産終了を迎えたほか、日産もフーガ、シーマといった往年のフラッグシップセダンの幕を下ろしました。マツダもフラッグシップのMAZDA6の国内販売を終了するなど、純国産セダンの選択肢は歴史的な少なさにまで絞り込まれています。
この背景には、企業の役員送迎や要人警護といった「ショーファーカー」の領域において、トヨタのアルファード/ヴェルファイアやレクサスLMといった超高級ミニバン、ならびにレクサスRX/LXなどのプレミアムSUVが台頭した事実があります。「偉い人は黒塗りのセダンに乗る」という昭和から平成にかけての固定観念が崩れ、移動中の圧倒的な頭上空間やリクライニング性能、乗降性の良さを重視する経営層・VIPが増加したことが、高級セダン市場の縮小を決定づけました。
そうした中、トヨタが投入した16代目クラウンシリーズにおいて、クロスオーバー・スポーツ・エステートに加え、あえて正統派FRプラットフォームを用いた「クラウン(セダン)」を残した動きは市場で大きな注目を集めました。公式試乗評価や法人ユーザーの間では「極上の乗り心地とFCEV/HEVによる別格の静粛性」が高く評価されているものの、販売の主軸は依然としてクロスオーバー系に寄っており、セダンはフォーマル用途や真の乗り味を求めるコア層向けという位置付けが鮮明になっています。