名曲がどのようにして産声を上げたのか、その背景には桜井和寿自身の生活実感と創作意識の大きな転換期がありました。2000年代中盤、Mr.Childrenは『シフクノオト』や『I ♥ U』といった重厚で内省的な名盤を世に送り出す一方、桜井自身は「音楽が持つ根源的な温もりや家族、日常の風景」へと関心を深めていました。
インタビュー等で明かされた桜井和寿作詞エピソードによると、自宅の台所で食器を洗ったり、家族と何気ない会話を交わしたりする日常の営みの中にこそ、かけがえのない豊かさ(=彩り)が存在すると実感したことが着想の原点だったといいます。自分の作った音楽がCDショップに並び、見知らぬリスナーの車内や部屋で鳴り響き、その人の一日を少しだけ明るくする——桜井自身が自らの音楽制作を「ひとつの仕事」として謙虚に見つめ直した結果生まれたのが、この楽曲でした。
さらに、宮﨑あおいが出演したオリンパスの一眼レフカメラ「E-410」のCMソング起用経緯も、楽曲の浸透を決定づけました。「写真を撮ることで日常の些細な瞬間が鮮やかに残る」というカメラのコンセプトと、「モノクロに見える日常にささやかな彩りを添える」という楽曲のメッセージ性が完全にシンクロし、お茶の間へ広く深く届くこととなりました。