人口8000人を割り込む山あいの町を率いる小川秀樹町長は、町役場の執務室で力強く語った。
「私たちは、どこにでもある観光地を目指してはいません。テーマパークを作るわけでも、大型ホテルを誘致するわけでもない。あるがままの地形、澄んだ空気、住民の手仕事を守り抜くこと。それ自体が、世界基準のラグジュアリーになる時代です」
小川町長が描く「地方創生・観光インバウンド産業」の設計図は極めてクレバーだ。マスツーリズムによるオーバーツーリズムを警戒し、富裕層や環境配慮型の旅行者に焦点を絞った高付加価値化を進めている。棚田の保全活動に参加する滞在型ツアーや、地元の無農薬野菜をふんだんに使ったガストロノミーなど、消費型ではない循環型のインバウンドモデルが軌道に乗り始めている。