「Don't Cry」の誕生は、バンドが世界を震撼させた1987年のデビュー作『Appetite for Destruction』よりも前、1985年の結成初期にまで遡ります。当時、生活苦にあえぎながらロサンゼルスのストリートで音楽に命を削っていたアクセル・ローズとイジー・ストラドリンの前に、一人の魅力的な女性が現れました。
彼女の名はロキシー・ペティコート(Roxy Perdicaris)。イジーと交際していた彼女に対して、アクセルもまた激しい恋心を抱いていました。しかし、彼女が選んだのはアクセルとの交際ではなく、別れを告げる道でした。ウェスト・ハリウッドの有名クラブ「ロキシー・シアター」の前で別れを告げられ、涙を流すアクセルに対し、彼女がかけた言葉こそが「泣かないで(Don't cry)」だったのです。
当時の特番インタビューにおいて、アクセルはこの夜の出来事を次のように述懐しています。「翌日、俺とイジーはアパートに集まり、わずか5分でこの曲の骨格を書き上げた。彼女への想いと、こぼれ落ちそうになる痛みをそのままギターとメロディにぶつけたんだ」。激しい情動をそのまま音に変換したからこそ、この曲には作為のない純粋な哀愁が宿っています。