職場というパブリックな場だけでなく、家庭という密室において自己愛が暴走した場合の結末はさらに過酷です。配偶者や子どもに対して絶対的な支配を敷き、言葉の暴力や経済的DVを繰り返すモラハラ気質の末路と離婚の実態は、晩年の完全な孤独死や家族からの絶縁に直結しています。
司法統計や家事事件の動向を追うと、モラルハラスメント(精神的虐待)を理由とする婚姻関係破綻の申し立ては一貫して増加傾向にあります。モラハラ加害者は、家庭内において「誰のおかげで生活できていると思っているのか」「お前は本当に要領が悪い」といった言葉を投げかけ、パートナーの自尊心を削り取ることで依存状態を作り出そうとします。
しかし、子どもが成長して進学・就職で家を離れ、経済的・物理的な独立を果たした段階で力関係は一変します。長年耐え忍んできた配偶者が入念な準備(日記の記録、録音、財産の把握)を経て、ある日突然、家を出て離婚調停を突きつけるのです。これがいわゆる「熟年別居・熟年離婚」の典型パターンです。
家族という安全地帯を破壊し尽くした人物の晩年は、誰からの介護や見守りも得られない無縁社会の最底辺です。倒れて病院に搬送されても、親族は身元引受人を拒否し、電話口で「二度と連絡してこないでください」と冷酷に告げられる事例は、法テラスや高齢者福祉の現場で日常茶飯事となっています。他者を痛めつけて手に入れた疑似的な全能感の代償は、あまりにも重いものとなります。