自衛隊札幌病院は長年、札幌市豊平区平岸(旧平岸分屯地)に位置し、地域住民からも親しまれてきました。しかし2015年3月、現在の南区真駒内駐屯地内へと新築移転を果たしました。この大規模な移転には、防衛・医療の両面における明確な戦略的理由が存在します。
移転の最大の背景は、昭和期に建設された平岸旧施設の老朽化と耐震基準・設備面での限界でした。さらに、北海道全域を防衛・警備担当区域とする陸上自衛隊北部方面隊および第11旅団の中核拠点である真駒内駐屯地と医療機能を一体化させることで、大規模災害発生時の即応力を極限まで高める狙いがありました。
新病院は免震構造を備えた高度な防災拠点として設計され、手術室の高度クリーン化、最新型MRI・CT装置の配備、感染症病床の充実など、近代医療インフラへと全面的に刷新されました。有事や激甚災害における傷病者の後送・集中治療拠点としての任務を担いつつ、平時は地域医療の中核病院として機能する二面性を確立しています。