タンパク質は、20種類のアミノ酸がペプチド結合によって鎖状に連なった高分子化合物です。しかし、ただ一本の紐として存在しているわけではありません。アミノ酸配列(1次構造)をもとに、らせん状のαヘリックスやシート状のβシート(2次構造)を形成し、さらに複雑に折りたたまれて球状や繊維状の立体的な3次構造、複数のペプチド鎖が組み合わさった4次構造をとっています。
この緻密な立体構造(高次構造)こそが、タンパク質特有の機能(酵素活性、酸素運搬、筋肉収縮など)を生み出す源泉です。タンパク質変性とは、化学的なアミノ酸の結合順序そのものが切断されるのではなく、構造を支えている比較的弱い結合(水素結合、疎水性相互作用、静電的相互作用、S-S結合など)が外的なエネルギーによって切断・再配列され、立体構造の崩壊を起こす現象を指します。
分子がほどけて内部に隠れていた疎水性(水を嫌う性質)のアミノ酸残基が表面に露出すると、水分子との安定な関係が絶たれます。その結果、ほどけたタンパク質同士が無秩序に絡み合い、凝集・沈殿して全く異なる物性を示すようになります。生体内の代謝を司る酵素の失活と熱変性も、活性中心と呼ばれる鍵穴のような立体ポケットが熱で変形し、基質と結合できなくなることで生じます。