梅田で働くビジネスパーソンにとって、正午過ぎのランチ難民化は死活問題である。12時15分にフロアへ足を踏み入れた瞬間、空席を探してトレーを持ったまま立ち尽くす羽目になる。だが、毎日この地を行き交う地元民は、決して無謀な突撃をしない。彼らには独自の「行動タイムテーブル」が存在する。
最大の狙い目は11時15分から11時40分までの空白地帯だ。各店の仕込みが完全に仕上がり、フロアの稼働率がまだ4割程度にとどまるこの25分間こそ、並ぶことなく限定メニューを射止め、落ち着いたソファ席を確保できるゴールデンタイムだ。もう一つの逃げ道は14時以降の遅がけシフト。昼下がりのアイドルタイムになると、喧騒は潮が引くように引き、まるでホテルのラウンジのような静寂がフロアを包む。
席取りのロケーション選びにも定石がある。中央のメイン動線沿いは人の往来が激しく落ち着かない。狙うべきは、最奥に位置するカウンター席や、柱の死角に配置されたハイテーブルだ。電源プラグを備えた席も点在しており、ノマドワーカーやスマートフォンの充電残量を気にする旅行者にとって、ここ以上のオアシスは界隈に存在しない。