本作の実現を後押ししたのは、間違いなくエミー賞を席巻した『SHOGUN 将軍』の歴史的成功だ。「字幕付きの本格的な時代劇はグローバル市場でヒットしない」というハリウッドの長年の偏見は、見事に打ち砕かれた。観客が求めているのは薄っぺらいオリエンタリズムではなく、徹底的に掘り下げられた固有のリアリズムであると証明されたのだ。
この成功を受け、本格的な国際共同製作のハードルは劇的に下がった。『SHOGUN 将軍』が開けた重い扉の先で、より先鋭的で、より重厚なテーマに挑む準備が整ったと言える。言語の壁を恐れず、むしろ言語が通じないことによる恐怖や葛藤そのものをサスペンスの核に据える演出手法は、国際的な映像制作における新たなスタンダードになりつつある。