世界に名を馳せる神戸ビーフ。夜のコースで味わえば一人前数万円を下らない最高峰の黒毛和牛が、ランチタイムには驚くほど手頃なセットとして提供されるケースが少なくない。これは決して客寄せの安売りではない。一頭買いを行う精肉卸直営店や老舗ステーキハウスが、端肉や赤身部位、あるいは切り落としを巧みに活用することで実現させている持続可能な仕組みだ。
鉄板の上で弾ける脂の芳醇な香り。目の前で手際よく焼き上げられるステーキや、じっくり煮込まれた牛すじのシチューは、価格以上の感動を舌の上にもたらす。高級肉を日常の延長線上で楽しむという贅沢は、産地と消費地が直結している兵庫県ならではの特権にほかならない。