低軌道(LEO)でのインターネット衛星網の構築において、スペースX社の「スターリンク」が圧倒的な存在感を示す中、中国も国家プロジェクト「国網(Guowang)」や民間主導の「千帆(G60)」などで猛追をみせている。しかし、宇宙の争奪戦は低軌道だけに留まらない。
近年、低軌道衛星と静止軌道衛星を連携させた「ハイブリッド型ネットワーク」の重要性が急速に高まっている。広範囲の通信を担保する静止衛星が要(かなめ)となり、低軌道群の大容量データ通信を統括するアーキテクチャだ。長征7号Aはこの高度なシステムを組み上げるための最重要パーツとして機能している。
ワシントンの安全保障シンクタンクが懸念するのは、中国による軌道上での「作戦自由度」の飛躍的増加だ。高精度な軌道投入能力は、防衛目的のみならず、他国の衛星に対するアプローチや中継妨害など、宇宙空間におけるグレーゾーン事態への対応能力をも支えている。アメリカ宇宙軍が警戒感を強める中、静止軌道を巡る不可視の攻防戦は新たな局面を迎えている。