排尿時に泡が発生すること自体は物理的な衝撃によって誰にでも起こり得ます。しかし、健康な尿で作られた泡は数秒から数十秒で自然に弾けて消失します。問題となるのは、尿が泡立つメカニズムの背景に血液中の成分異常が存在するケースです。
通常、血液中のブドウ糖は腎臓の糸球体でろ過された後、尿細管でほぼ100%再吸収されます。ところが、血糖値と尿の泡立ちの関係を臨床的に見ると、血糖値がおよそ160〜180mg/dL(糖排泄閾値)を超えると尿細管の再吸収能力が限界に達し、尿中にブドウ糖が漏れ出します。これが「尿糖陽性」の状態です。
尿中に糖やタンパク質などの有機物が高濃度で混ざり込むと、液体の表面張力が著しく変化し、空気を含んだ気泡の膜が壊れにくくなります。臨床現場の観察記録でも、重度の高血糖状態にある患者の尿は、ビールの泡のようにきめ細かく粘り気のある泡が便器内に長時間残留することが確認されています。