胃もたれとは、胃の運動機能低下によって食物が十二指腸へスムーズに排出されず、胃内に長くとどまることで生じる不快感です。一時的な暴飲暴食であれば数日で回復しますが、胃もたれが治らない原因には器質的な病変(粘膜の物理的な異常)が関与している可能性が高まります。
特に注視すべきは、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)による持続感染です。ピロリ菌によって引き起こされる慢性胃炎と萎縮性胃炎は、胃粘膜の菲薄化を招き、正常な胃酸分泌や蠕動運動を阻害します。この萎縮性胃炎が進行した状態(腸上皮化生)は、胃がんの強力な発生母地となることが厚生労働省等の研究班によって実証されています。ピロリ菌除菌と胃がんリスクの関係において、除菌成功後も胃がん発生率がゼロになるわけではなく、定期的な経過観察が求められます。
また、胃がんそのものが胃の出口付近(前庭部や幽門部)や胃体部に発生すると、物理的な狭窄や胃壁の柔軟性低下を引き起こし、持続的な重苦しさや早期満腹感を生じさせます。これが「市販薬を服用しても根本的に改善しない胃もたれ」の正体です。