一見すると本土の「おぼろ豆腐」や「寄せ豆腐」と同類に思われがちだが、製法を紐解けばその設計思想は根本から異なる。決定的な分水嶺は、大豆の絞り方と豆乳の濃度、そして海水にがりの打ち方にある。
本土の一般的な豆腐は、すり潰した大豆(呉)を加熱してから濾す「煮絞り法」が主流だ。対して沖縄の伝統製法は、生のまま大豆を搾ってから果汁のような生豆乳を大釜で直火にかける「生絞り法」を貫く。この手法は大豆の雑味を抑え、すっきりとした甘みと力強い風味を抽出できる反面、焦げ付きやすいため職人の腕がダイレクトに試される。
農林水産省の郷土料理記録にも記されている通り、ゆし豆腐はしっかり脱水して固める「島豆腐」の一歩手前、にがりを打って大豆タンパクがふわっと凝固した瞬間をそのまま汁ごとすくい上げたものだ。おぼろ豆腐が濃厚な豆乳の甘みをスプーンで愛でる繊細なデザートに近いとすれば、ゆし豆腐は旨味の溶け出したスープごと胃袋へ流し込む、たくましい「食事」そのものなのである。